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フロンティア金属錯体触媒化学

錯体化学会フロンティア選書
978-4-7827-0828-6 C3043 /2024年1月刊行
小島隆彦 [編著]
阿部 司,石谷 治,伊東 忍,小江誠司,生越專介,片山 精,河島拓矢,北川 宏,桑田繁樹,小谷弘明,小寺政人,小林浩和,塩田淑仁,荘司長三,鈴木和人,鈴木康介,田辺資明,玉置悠祐,茶谷直人,劒 隼人,土井良平,長江春樹,西林仁昭,福住俊一,真島和志,増田秀樹,八尋秀典,山口和也,山口修平,吉澤一成 [共著]
A5判・上製・2色刷・450ページ/定価 7,700円(本体7,000円)

酸化還元反応に有効な金属錯体触媒を中心に取り上げ,金属錯体触媒の重要な反応を網羅。どんな反応が進行するかだけでなく,どのような中間体を経てどのように反応が進行するのか,計算化学的アプローチも含めて記述。金属錯体触媒の反応機構に関する考察を深められる。

★ こんな人にオススメ
  • 金属錯体の触媒作用について知りたい
  • 金属錯体を触媒として利用したい
  • 新しい観点から触媒を開発したい
★ おもな読者対象
  • 金属錯体触媒の開発の最前線で活躍している研究者
  • 大学の学部3・4年生,高専の専攻科生,大学院生
★ 主な内容
錯体触媒化学の概要
触媒的酸化反応
  1. 非ヘム鉄酸素添加酵素のバイオインスパイアード錯体触媒
  2. 生体金属触媒としての銅の役割
  3. 金属酵素による不活性基質の酸化
  4. 第2および第3系列遷移金属錯体を用いた触媒的酸化反応
  5. 金属ナノ粒子と多孔性金属錯体が一体化した複合触媒
  6. ポリオキソメタレート系化合物による環境調和型液相酸化反応
  7. 多孔質材料に固定化された金属錯体触媒
  8. メタンの直接酸化機構と触媒開発のための計算化学的アプローチ
触媒的還元反応
  1. 水素分子の活性化
  2. 窒素固定
  3. 窒素分子の活性化,窒素錯体の構造と反応性の理解
  4. 有機化合物の水素化反応
結合形成と活性化
  1. 遷移金属を用いたテトラフルオロエチレンから高付加価値フッ素化合物への分子変換
  2. 金属クラスター錯体による触媒反応
  3. 炭素-水素結合活性化を経る分子変換反応
光触媒反応
  1. 金属錯体を触媒とする光触媒的酸化および還元
  2. 金属錯体を光触媒として用いたCO2還元
目次(詳細)

序 錯体触媒化学の概要
 1.1 緒言
 1.2 触媒の分類
 1.3 触媒作用
 参考文献

1 触媒的酸化反応
1 非ヘム鉄酸素添加酵素のバイオインスパイアード錯体触媒
 1.1 緒言
 1.2 非ヘム鉄酸素添加酵素の酸化活性種の構造と基質酸化
 1.3 バイオインスパイアード錯体のH2O2活性化・活性種の構造・基質酸化
  1.3.1 さまざまな配位子の鉄錯体によるH2O2活性化で生じる活性種の構造と反応性
  1.3.2 バイオインスパイアード錯体が触媒するH2O2によるC-HやC=Cの酸化
 1.4 カルボン酸存在下のH2O2活性化・活性種の構造・基質酸化
  1.4.1 カルボン酸存在下のH2O2活性化機構および活性種の構造と反応性
  1.4.2 C-HやC=C結合の位置選択的・立体特異的酸化の合成化学的応用
 1.5 結言
 参考文献
2 生体金属触媒としての銅の役割
 2.1 緒言
 2.2 オキシダーゼ
  2.2.1 アミノ酸側鎖由来の有機補欠分子と銅イオンの共同触媒作用
   (1) アミン酸化酵素
   (2) ガラクトース酸化酵素
 2.3 水の4電子還元―多核金属活性中心
  2.3.1 シトクロムc酸化酵素
  2.3.2 マルチ銅酸化酵素
 2.4 モノオキシゲナーゼ
  2.4.1 単核銅中心における分子状酸素の活性化
   (1) ドーパミンβモノオキシゲナーゼとペプチジルグリシンαヒドロキシル化モノオキシゲナーゼ
   (2) 溶解性多糖モノオキシゲナーゼ
   (3) 膜結合型メタンモノオキシゲナーゼ
  2.4.2 二核銅中心における酸素の活性化(チロシナーゼ)
 2.5 レダクターゼ
  2.5.1 亜硝酸還元酵素
  2.5.2 亜酸化窒素還元酵素
 2.6 結言
 参考文献
3 金属酵素による不活性基質の酸化
 3.1 緒言
 3.2 シトクロムP450(P450)
 3.3 P450の触媒サイクル
 3.4 P450BM3
 3.5 P450BM3の触媒的応用
  3.5.1 遺伝子工学的手法によるP450BM3の機能改変
  3.5.2 部位特異的変異導入による機能改変
  3.5.3 分子進化工学を用いた,ランダム変異導入による機能改変
 3.6 P450BM3の基質誤認識を利用する基質特異性変換
 3.7 結言
 参考文献
4 第2および第3系列遷移金属錯体を用いた触媒的酸化反応
 4.1 緒言
 4.2 Mo,W錯体を用いた触媒的酸化反応
 4.3 Ru,Os錯体を用いた触媒的酸化反応
 4.4 Rh,Ir錯体を用いた触媒的酸化反応
 4.5 Pd,Pt錯体を用いた触媒的酸化反応
 4.6 結言
 参考文献
5 金属ナノ粒子と多孔性金属錯体が一体化した複合触媒
 5.1 緒言
 5.2 金属ナノ粒子とMOFの複合化手法
 5.3 MOF被覆によるPtナノ結晶のCO酸化活性制御と高い耐久性
  5.3.1 MOF被覆によるPtナノ粒子のCO酸化活性制御
  5.3.2 MOF被覆によるPtナノ粒子のシンタリング抑制
  5.3.3 Ptナノ粒子の水性ガスシフト反応におけるUiO-66の被覆効果
  5.3.4 Ptナノ粒子の水性ガスシフト反応におけるUiO-66の置換基効果
 5.4 金属/MOF複合触媒の開発とCO2の水素化によるメタノール合成
 5.5 MOFの加熱による金属ナノ粒子/MOF複合体のワンポット合成手法
 5.6 結言
 参考文献
6 ポリオキソメタレート系化合物による環境調和型液相酸化反応
 6.1 緒言
 6.2 ポリオキソメタレートの特長と分子触媒設計
 6.3 ポリオキソメタレートによる環境調和型液相酸化反応
  6.3.1 ペルオキソメタレート
  6.3.2 混合配位型ポリオキソメタレート
  6.3.3 金属置換型ポリオキソメタレート
 6.4 結言
 参考文献
7 多孔質材料に固定化された金属錯体触媒
 7.1 緒言
 7.2 金属錯体内包ゼオライト触媒とはどのようなものか
 7.3 金属錯体内包ゼオライト触媒の調製とキャラクタリゼーション
 7.4 金属錯体内包ゼオライトを用いた触媒反応
  7.4.1 金属錯体内包ゼオライトの触媒反応
  7.4.2 鉄錯体内包ゼオライト触媒による環状炭化水素の選択酸化反応
  7.4.3 銅錯体内包ゼオライト触媒のスルフィドの酸化反応
  7.4.4 コバルト錯体内包ゼオライト触媒中で生成する金属-活性酸素種の検討例
  7.4.5 触媒活性向上への取り組み
 7.5 結言
 参考文献
8 メタンの直接酸化機構と触媒開発のための計算化学的アプローチ
 8.1 緒言
 8.2 金属オキソイオン種
 8.3 メタンモノオキシゲナーゼ(MMO)
  8.3.1 単核銅活性中心
  8.3.2 二核銅活性中心
  8.3.3 三核銅活性中心
 8.4 銅置換ゼオライト
 8.5 結言
 参考文献

2 触媒的還元反応
1 水素分子の活性化
 1.1 緒言
 1.2 ヒドロゲナーゼ
  1.2.1 3種類のヒドロゲナーゼ
  1.2.2 [NiFe]ヒドロゲナーゼの酸素耐性と近位鉄硫黄クラスターの関係
 1.3 [NiFe]ヒドロゲナーゼモデル
  1.3.1 [NiFe]ヒドロゲナーゼモデルによる水素分子活性化
  1.3.2 NiFeヒドリド錯体の構造
  1.3.3 水素分子活性化の要件
  1.3.4 水素分子がFe(II)と反応する理由
  1.3.5 NiFeヒドリド錯体生成の理論計算
  1.3.6 ヒドリド錯体による電子移動反応
  1.3.7 ヒドリド錯体による水素発生反応
  1.3.8 ヒドリド錯体によるヒドリド移動反応
  1.3.9 水素分子活性化と酸素分子活性化
 1.4 結言
 参考文献
2 窒素固定
 2.1 緒言
 2.2 生物の窒素固定と工業的アンモニア合成法
 2.3 遷移金属に対する窒素の配位様式
 2.4 配位窒素のプロトン化反応
 2.5 配位窒素の水素化反応
 2.6 架橋窒素の開裂によるニトリド錯体の生成と炭素-窒素結合生成反応
 2.7 配位窒素からの窒素-炭素結合生成反応
 2.8 配位窒素のシリル化と窒素分子からの触媒的シリルアミン生成反応
 2.9 窒素分子からの触媒的アンモニア生成反応
 2.10 結言
 参考文献
3 窒素分子の活性化,窒素錯体の構造と反応性の理解
 3.1 緒言
 3.2 窒素分子の基本情報
 3.3 窒素の金属への結合と反応性の理解
  3.3.1 terminal end-on binding /η1-N2
  3.3.2 terminal end-on N2 錯体のシリル化反応
  3.3.3 end-on bridging / M-(μ-η1 : η1-N2)-M
  3.3.4 end-on bridging N2 錯体の光,熱による窒素分子開裂
  3.3.5 end-on bridging N2-Fe 錯体と窒素分子開裂
  3.3.6 end-on bridging N2-Re 錯体による窒素分子開裂
  3.3.7 side-on bridging / M-(μ-η2 : η2-N2)-M
  3.3.8 side-on end-on bridging / μ-η1 : η2-N2
  3.3.9 窒素と二酸化炭素を原料としたヘテロクムレンの合成
  3.3.10 多核錯体による小分子活性化
  3.3.11 電気化学的手法による金属錯体を用いた窒素固定
 3.4 結言
 参考文献
4 有機化合物の水素化反応
 4.1 緒言
 4.2 アルケンの触媒的水素化反応
 4.3 アルケンの触媒的不斉水素化反応
 4.4 ケトンの触媒的水素化反応
 4.5 カルボン酸誘導体の水素化反応
 4.6 第一遷移系列金属錯体を用いる水素化反応
 4.7 結言
 参考文献

3 結合形成と活性化
1 遷移金属を用いたテトラフルオロエチレンから高付加価値フッ素化合物
  への分子変換
 1.1 緒言
 1.2 Pd触媒を用いたTFEの炭素-フッ素結合切断を経るクロスカップリング
  1.2.1 トリフルオロスチレン
  1.2.2 亜鉛試薬を用いたTFEの根岸カップリング
  1.2.3 ホウ素試薬を用いたTFEのbase-free鈴木・宮浦カップリング
  1.2.4 ケイ素試薬を用いたTFEのbase-free檜山カップリング
 1.3 Ni(0)触媒を用いた環状ニッケル錯体を経るTFEと種々の不飽和成分との炭素-炭素結合形成反応
  1.3.1 Ni(0)上でのTFEの酸化的環化反応
  1.3.2 Ni(0)上でのTFEとエチレンとの酸化的環化反応によって生じる5員環ニッケル錯体の単離とその反応性
  1.3.3 Ni(0)触媒を用いたTFE,エチレン,およびアルデヒドとの交差三量化反応
  1.3.4 Ni(0)触媒を用いたTFE,二分子のエチレン,およびアルキンとの三成分四量化反応
  1.3.5 Ni(0)触媒を用いたTFE,エチレン,アルキン,およびアルデヒドとの四成分四量化反応
  1.3.6 Ni(0)触媒を用いたTFE,アルデヒド,およびヒドロシランとの還元的カップリング反応
  1.3.7 Ni(0)触媒を用いたTFE,イミン,およびシランとの還元的カップリング反応
  1.3.8 Ni(0)触媒を用いたTFE,アルデヒド,およびヒドロシランとの還元的カップリング
  1.3.9 Ni(0)触媒を用いたTFE,イミン,およびシランとの還元的カップリング
 1.4 Cu触媒を用いた付加反応を鍵とするTFEの触媒的分子変換反応
  1.4.1 TFEの脱フッ素ホウ素化反応
  1.4.2 TFEの脱フッ素シリル化反応
  1.4.3 TFEのフルオロキュプレーションを経由する触媒的ペンタフルオロエチル化反応
 1.5 Ru触媒を用いたTFEのオレフィンメタセシス反応
 1.6 結言
 参考文献
2 金属クラスター錯体による触媒反応
 2.1 緒言
 2.2 カルボン酸誘導体の変換反応
  2.2.1 エステル交換反応とその反応機構
  2.2.2 アミド化合物の加アルコール分解反応
 2.3 酸化反応
  2.3.1 炭化水素の酸化反応
  2.3.2 オレフィンの酸化反応
  2.3.3 アルコールの酸化反応
 2.4 ラジカル反応
  2.4.1 ラジカル付加反応
  2.4.2 脱ハロゲン化-水素化反応
  2.4.3 ペルオキシド合成反応
 2.5 オリゴメリゼーションおよび重合反応
  2.5.1 アルキンの環化三量化反応
  2.5.2 ジエンおよびエチレンの重合反応
  2.5.3 二酸化炭素とエポキシドの交互共重合反応
 2.6 ヒドロシリル化反応,シリルホルミル化反応
 2.7 ヒドロアルコキシ化反応
 2.8 C-H活性化によるカップリング反応
 2.9 シクロプロパン化反応
 2.10 結言
 参考文献
3 炭素-水素結合活性化を経る分子変換反応
 3.1 緒言
 3.2 歴史
 3.3 反応機構
  3.3.1 芳香族求電子置換反応
  3.3.2 塩基が促進するメタル化脱プロトン化
  3.3.3 酸化的付加
  3.3.4 Ligand-to-Ligand Hydrogen Transfer (LLHT)
  3.3.5 σ-Bond Metathesis(σ-ボンドメタセシス),σ-Complex Assisted Metathesis (σ-CAM)
 3.4 炭素-水素結合分子変換反応
  3.4.1 アルキル化反応
  3.4.2 アリール化反応
  3.4.3 アルケニル化反応
  3.4.4 アルキニル化反応
  3.4.5 カルボニル化反応
  3.4.6 ボリル化反応
  3.4.7 ハロゲン化反応
  3.4.8 その他の反応
 3.5 結言
 参考文献

4 光触媒反応
1 金属錯体を触媒とする光触媒的酸化および還元
 1.1 緒言
 1.2 [Ru(bpy)3]2+
 1.3 錯体光触媒と錯体酸化還元触媒との組み合わせ
  1.3.1 酸化反応
  1.3.2 水の光触媒酸化反応
  1.3.3 光合成系II複合体(PSII)モデル
  1.3.4 光合成系I複合体(PSI)モデル
  1.3.5 CO2の光触媒還元反応
  1.3.6 水と酸素からの過酸化水素生成光触媒反応
 1.4 結言
 参考文献
2 金属錯体を光触媒として用いたCO2還元
 2.1 緒言
 2.2 光触媒反応の評価
 2.3 光増感剤と触媒を混合した光触媒系
 2.4 超分子光触媒
 2.5 結言
 参考文献

索引
筆者紹介

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部数:

更新: 2024年8月8日
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