• 献本

結晶化学への招待 ― 結晶とX線 ―

978-4-7827-0730-2 C3043 / 2015年4月刊行
城西大学教授 宮前 博 著
B5・並製・2色刷・152頁/ 定価 2,750円( 本体 2,500円)
結晶化学と身の周りの物・形状が,どのように関連しているか,いかに面
白い学問であるかを,多くのコラムなどを配置して解説した好入門書。
結晶がX線と相互作用することにより,どのように原子配列が求まるのかなどについて,歴史と合わせながら紹介する。
紙面イメージ
主な内容
  1. 結晶とは
  2. 結晶の対称性Ⅰ―32の晶族(点群)
  3. 結晶の対称性Ⅱ―7つの結晶系・14のブラベ格子
  4. 結晶の対称性Ⅲ―並進操作を含む対称要素,空間群
  5. X線
  6. 人類初のX線結晶構造解析―NaClとKClの結晶構造の決定とミラー指数
  7. 波の表現―波動運動の複素数による表現とオイラーの公式
  8. 結晶とX線の相互作用―回析理論
  9. 構造因子―電子密度と回析強度および消滅則
  10. X線回析実験―データ測定・空間群の決定・データの評価
  11. X線構造解析の実際―思わぬハプニング・低温実験でのトラブル
  12. X線以外の波動を利用した回析―電子線と中性子線についてちょっとだけ
目次(詳細)

1 結晶とは
 1-1 はじめに
  1-1-1 結晶にもつイメージ
 1-2 結晶に見られる規則的構造
 1-3 周期性の現れない敷き詰め構造
 1-4 2次元周期配列に許される回転対称
2 結晶の対称性Ⅰ — 32の晶族(点群)
 2-1 結晶内で許される回転対称
 2-2 反転を含む対称
  2-2-1 反転対称
  2-2-2 投影表示
  2-2-3 鏡映対称,その他
 2-3 対称要素の組み合わせ
  2-3-1 主軸と垂直な2回軸の組み合わせ
  2-3-2 主軸と鏡映面の組み合わせ
  2-3-3 互いに交わる鏡映面
  2-3-4 立方体の対称性
 2-4 32の結晶系(晶族)
  2-4-1 晶族の小分類
  2-4-2 対称性の有無による分類
  2-4-3 対称性の高低による分類
 2-5 点群
3 結晶の対称性Ⅱ — 7つの結晶系・14のブラベ格子
 3-1 結晶系
  3-1-1 対称性に由来する結晶軸の取り方
 3-2 周期構造とabc軸の選び方
  3-2-1 並進成分の選択法
  3-2-2 複合格子の選択
 3-3 14のブラベ(Bravais)格子
  3-3-1 7つの結晶系と14のブラベ格子
4 結晶の対称性Ⅲ — 並進操作を含む対称要素,空間群
 4-1 映進面
  4-4-1 映進方向と表示記号
 4-2 らせん軸
  4-2-1 回転軸との組み合わせで生じるらせん軸
  4-2-2 らせん軸の表示法
 4-3 空間群
5 X線
 5-1 X線の発見
 5-2 X線の発生
  5-2-1 X線管球
  5-2-2 加速電圧と発生するX線の強度
  5-2-3 特性X線とモーズレーの法則
  5-2-4 放射光
 5-3 X線の検出法
6 人類初のX線結晶構造解析
  — NaClとKClの結晶構造の決定とミラー指数
 6-1 LaueとEwaldの出会い
  6-1-1 人類初の回析実験
 6-2 Bragg親子の登場
  6-2-1 NaCIとKClの回析像(粉末回折像)についての予備知識
 6-3 有理指数の法則とミラー指数
 6-3-1 直交軸系の格子での面間隔の計算法
 6-4 単結晶を利用した回析パターンの測定
  6-4-1 ブラッグの式と測定装置
  6-4-2 回析斑点の解釈
  6-4-3 鉱物学者の考えていた結晶構造
  6-4-4 ブラッグの解釈
  6-4-5 KCl構造の解釈
 6-5 結晶の密度とX線の波長
 6-6 まとめ
7 波の表現 — 波動運動の複素数による表現とオイラーの公式
 7-1 波
 7-2 複素数と複素表面
  7-2-1 複素数表示の便利なところ
  7-2-2 共役複素数
 7-3 フーリエ級数
  7-3-1 フーリエ変換
 7-4 フーリエ級数展開
 7-5 フーリエ係数の決定
 7-6 フーリエ変換の表現
  7-6-1 複素フーリエ級数の便利なところ
  7-6-2 たたみこみ
 7-7 フーリエ合成
8 結晶とX線の相互作用 — 回析理論
 8-1 横波の回析と干渉
  8-1-1 2つの波源からの波の干渉
  8-1-2 1つの波源からの波が二重スリットを通って起こす干渉
 8-2 Coherent(可干渉性)な波
  8-2-1 回析格子の配列と回析模様
 8-3 1次元格子による散乱
  8-3-1 回析条件
  8-3-2 より一般的な回析条件
  8-3-3 3次元格子からの回析
 8-4 hklの意味
  8-4-1 ベクトルの積
  8-4-2 スカラー三重積
  8-4-3 結晶内の平面を考察する
  8-4-4 hklの意味のまとめと逆格子ベクトル
9 構造因子 — 電子密度と回析強度および消滅則
 9-1 X線を散乱するもの
 9-2 原子錯乱因子fatom(原子という窓からの散乱)
  9-2-1 原子散乱因子とは
  9-2-2 電子数の等しい原子・イオンの散乱因子
 9-3 回析強度と構造因子
  9-3-1 構造因子
  9-3-2 構造因子の性質
  9-3-3 複合格子の消滅則
10 X線回析実験 ― データ測定・空間群の決定・データの評価
 10-1 実験に用いる回析条件
  10-1-1 ブラッグの条件という表現
  10-1-2 エワルドの条件という表現[Laueの考え方 vs Ewaldの考え方]
  10-1-3 限界球
 10-2 逆格子の配列と回析図形
 10-3 回析データの収集
  10-3-1 結晶を選んで回析装置にセットする
  10-3-2 予備測定(格子の選択)の後,自動で測定する
  10-3-3 補正のためのデータを収得しておく
 10-4 結晶構造を解く
  10-4-1 空間群の決定
  10-4-2 構造を解く
  10-4-3 F(000) の意味
 10-5 構造決定の例(構造因子の意味)
  10-5-1 1次元データで見るフーリエ合成
  10-5-2 2次元データ
11 X線構造解析の実際
  —思わぬハプニング・低温実験でのトラブル(思いつくままに)

 11-1 通常は結晶をキチンと選べばトラブルは起きない
  11-1-1 グラニュー糖の構造解析
  11-1-2 トラブル
 11-2 補正
  11-2-1 ローレンツ因子と偏光因子
  11-2-2 吸収補正
 11-3 結晶格子が教える組成情報と実例
12 X線以外の波動を利用した回析
  —電子線と中性子線についてちょっとだけ

 12-1 X線との比較
 12-2 波長
 12-3 電子線回析
 12-4 中性子線回析
  12-4-1 散乱因子
  12-4-2 核スピン
 12-5 X線の粉末回析データの利用
  12-5-1 リートフェルト(Rietveld)解析
参考書
索引
コラム
 周期性を持たない図形による平面の埋め尽くし
  (ペンローズ模様,ペンローズ・タイル)
 自然界で見られる対称模様
 立方体「432」の対称要素数
 身の周りの適度に周期性のある形や構造物を探せ
 街で見られる並進対称と映進対称
 江戸の模様を眺めてみよう
 並進を回転操作と組み合わせる「らせん」
 江戸の伝統模様:紗綾形
 可視光とX線の激しさの比較
 エネルギーのeV表示
 回折装置の進歩と解析対象
 周期的なパルス(box関数)を描いてみる
 回折格子と回折パターン
 結晶構造データの集積
休憩室
 言葉で対称性を楽しむ─回文(1)
 言葉で対称性を楽しむ─回文(2)
 言葉で対称性を楽しむ─回文(3)
 回文の音楽版

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更新: 2025年9月1日
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