金属錯体の色と構造

─電子スペクトルと機能物性の基礎─
978-4-7827-0722-7 C3043 /2015年2月刊行
大阪大学名誉教授 海崎純男 著
A5・上製・156頁/定価 2,750円(本体2,500円)
遷移金属錯体の色の主な原因であるd-d電子遷移の電子スペクトルの基礎理論である結晶場理論・配位子場理論と角重なりモデルを解説し,基底状態―励起状態間のd-d電子遷移における吸収や発光スペクトルが遷移金属イオン,配位子や配位構造にどのように影響されるかを最近の特殊な研究例を含めて明らかにする。
目次

1章 色と電子スペクトル
 1-1 電子スペクトルを測定する

2章 配位子場理論の基礎
 2-1 配位子場理論誕生の成り立ち
 2-2 軌道エネルギー
 2-3 結晶場分裂
 2-4 高スピン型錯体のオーゲルダイヤグラム
  2-4-1 弱い場の取り扱い
  2-4-2 強い場の取り扱い
 2-5 田辺-菅野ダイヤグラム
 2-6 低対称場の配位子場パラメーター
 2-7 角重なりモデル(Angular Overlap Model:AOM)

3章 配位子場d-d遷移スペクトルの電子スペクトル
 3-1 スピン許容遷移
  3-1-1 高スピン型錯体
  3-1-2 低スピン型錯体
 3-2 スピン禁制d-d遷移
 3-3 配位子場遷移の発光スペクトル

4章 配位子と中心金属の違いによる配位子場遷移スペクトルの変化
 4-1 分光化学系列
 4-2 二次元分光化学系列
 4-3 電子雲拡大系列

5章 配位子場d-d遷移スペクトルと立体構造
 5-1 低対称場八面体6配位錯体
  5-1-1 幾何異性体
  5-1-2 三方対称場分裂
 5-2 ヤーン・テラー(Jahn-Teller)歪み
 5-3 4配位錯体の配位場遷移
  5-3-1 四面体錯体の電子スペクトル
  5-3-2 平面4配位錯体の電子スペクトル
    1) 常磁性平面4配位Ni(II)錯体
    2) 常磁性平面4配位Co(III)錯体
    3) 平面4配位Cu(II)錯体
 5-4 5配位錯体

6章 遷移の選択則と吸収強度およびバンド幅
 6-1 電子遷移の選択則
  6-1-1 軌道選択則とスピン選択則
  6-1-2 スピン許容d-d遷移の吸収強度
    1) 八面体錯体
    2) 四面体錯体
  6-1-3 スピン禁制d-d遷移の吸収強度
  6-1-4 電荷移動遷移の吸収強度
 6-2 吸収帯のバンド幅

7章 配位子場d-d遷移以外の電子遷移
 7-1 電荷移動遷移
  7-1-1 金属-配位子間電荷移動遷移の電子スペクトル
  7-1-2 金属-配位子間電荷移動遷移の発光スペクトル
  7-1-3 金属ハロゲン化物と金属酸化物の電荷移動遷移
  7-1-4 金属-金属間電荷移動遷移
 7-2 配位子内遷移
 7-3 ラタンニド錯体の4f-4f遷移と4f-5d遷移
  7-3-1 4f-4f遷移の電子スペクトル
  7-3-2 4f-4f遷移の発光スペクトル
  7-3-3 4f→5d遷移の電子スペクトル
  7-3-4 5d→4f遷移の発光スペクトル

8章 いろいろな二色性
 8-1 結晶二色性スペクトル
 8-2 円二色性(Circular Dichroism:CD)
  8-2-1 配位子場d-d遷移の円二色性
 8-3 円偏光ルミネッセンス(Circular Polarized Luminescence:CPL)
 8-4 磁気円二色性(Magnetic Circular Dichroism:MCD)
 8-5 磁気キラル二色性と磁気キラル円二色性

9章 外場の影響-クロモトロピズム
 9-1 ソルバトクロミズム
 9-2 ルビーのクロモトロピズム
 9-3 スピンクロスオーバー錯体

10章 集積化による影響
 10-1 錯体間の磁気的相互作用
  10-1-1 ラジカル配位子錯体
  10-1-2 酢酸銅 [(Cu2(CH3OO)4(H2O)2]
 10-2 一次元錯M…M型錯体
  10-2-1 Magnus緑塩
  10-2-2 テトラシアノ白金錯体
  10-2-3 シュウ酸白金錯体
  10-2-4 ビス(ジメチルグリオキシマト)Ni(II)錯体 [Ni(dmg)2]
 10-3 混合原子価錯体
  10-3-1 一次元鎖M…M型錯体
    1) 白金錯体
    2) Krogmann塩
    3) 白金ブルー
  10-3-2 一次元鎖M-X-M型錯体
    1) Wolffram赤色塩
    2) ニッケル錯体
  10-3-3 三次元骨格多核M-X-M型錯体
    1) プルシアンブルー
  10-3-4 M-O-M型混合原子価酸化物
    1) 藍鉄鉱Vivianite
    2) アクアマリン
    3) サファイア
    4) ヘテロポリブルー
    5) モリブデンブルー
    6) タングステンブロンズ

付録
 Ⅰ) 群論の要点
 Ⅱ) 配置間相互作用と非交差則

コラム
 (1) 身の回りの色いろいろ
 (2) 宝石の色
 (3) 青色顔料ものがたり
 (4) プルシアンブルーの誕生とその後の展開
 (5) Magnus緑塩・シスプラチン・配位説・トランス効果・白金ブルー

参考文献

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更新: 2023年10月12日
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