生体反応論-生体機能の有機化学

978-4-7827-0342-7 C3043
太田博道
慶應義塾大学名誉教授 太田博道 著
A5・上製・292頁/定価 3,850円(本体3,500円)
近年,生体反応が分子レベルで理解できるようになり,生物と有機化学の相互理解,相互利用が重要になってきた。本書は有機反応論的視点から生体反応,酵素反応を解説し,さらに酵素反応をいかに有機化学に応用するかについて例をあげて説明した有機化学と生命科学のはざまの領域をうめるテキスト,参考書。
目 次

序 章
第1章 遺伝情報と酵素
 1.1 遺伝子の情報
 1.2 遺伝情報の転写とペプチド合成
  1.2.1 転写RNA
  1.2.2 転移RNAによるアミノ酸の運搬とペプチド結合の生成
  1.2.3 t-RNAのアシル化
  1.2.4 構成酵素と誘導酵素
  1.2.5 フィードバック制御
  1.2.6 突然変異

第2章 酵素の構造と触媒作用の機構
 2.1 触媒と遷移状態理論
 2.2 酵素の種類
 2.3 酵素の構造
 2.4 酵素反応の機構
 2.5 酵素反応の動力学
  2.5.1 Michaelis-Mentenの式
  2.5.2 Lineweaver-Burkの式
 2.6 阻 害
  2.6.1 競争阻害
  2.6.2 非競争阻害

第3章 酵素反応の立体化学
 3.1 キラリティとプロキラリティ
  3.1.1 キラリティ
  3.1.2 プロキラル中心
  3.1.3 プロキラル面
  3.1.4 プロキラリティの識別
 3.2 アルコールデヒドロゲナーゼ
 3.3 トランスアミナーゼ
 3.4 アルドラーゼ

第4章 酵素による物質変換の有機反応論
 4.1 糖の代謝(解糖系)
  4.1.1 解糖系の概要
  4.1.2 解糖系の生物学的意義
  4.1.3 グルコースとフラクトースの異性化反応
  4.1.4 レトロアルドール反応
  4.1.5 ホスホエノールピルビン酸の生成
  4.1.6 ATPの生成
  4.1.7 ピルビン酸の脱炭酸反応
 4.2 クレブスサイクル(TCAサイクル)
  4.2.1 クレブスサイクルの概要
  4.2.2 クレブスサイクルの生物学的意義
  4.2.3 ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応
  4.2.4 TCAサイクルにおける脱炭酸反応
  4.2.5 グリオキシル酸サイクル
 4.3 脂肪酸の代謝と生合成
  4.3.1 脂肪酸の代謝
  4.3.2 脂肪酸の生合成
 4.4 脂肪族炭化水素の代謝
  4.4.1 飽和炭化水素の代謝
  4.4.2 不飽和炭化水素の代謝
 4.5 芳香族炭化水素の代謝
 4.6 まとめ

第5章 発酵生産
 5.1 発酵と微生物変換,酵素変換
 5.2 グルタミン酸発酵
  5.2.1 グルタミン酸の生合成経路
  5.2.2 グルタミン酸発酵とビオチン
  5.2.3 廃糖蜜を炭素源とするグルタミン酸発酵とペニシリンの効果
 5.3 リジン発酵
  5.3.1 栄養要求株とは何か
  5.3.2 リジンの生合成経路
  5.3.3 ホモセリン要求株の創製
 5.4 イソロイシン発酵
  5.4.1 アナログ耐性菌とは何か
  5.4.2 アナログ耐性菌はなぜイソロイシン生産株になりうるか

第6章 生体反応の有機化学への応用
 6.1 微生物変換,酵素変換
  6.1.1 微生物変換,酵素変換とは何か
  6.1.2 生体触媒の特徴
  6.1.3 基質特異性は本当に厳しいか
 6.2 生体触媒を用いる反応における人為的工夫
  6.2.1 スクリーニングにおける工夫
  6.2.2 培養条件の工夫
  6.2.3 反応条件の工夫
  6.2.4 添加物の効果
  6.2.5 基質の構造の修飾
  6.2.6 突然変異株の取得
  6.2.7 酵素の改変,創製
 6.3 光学活性体の調整
  6.3.1 光学活性体を出発物質とする合成
     6.3.2 ジアステレオ選択的な反応
  6.3.3 光学分割
  6.3.4 メソ化合物のエネンチオ選択的な反応
  6.3.5 プロキラル中心を有する化合物のエナンチオ選択的な反応
  6.3.6 プロキラル面を有する化合物のエナンチオ選択的な反応
  6.3.7 エナンチオ場の選択とエネンチオ面の選択
  6.3.8 E 値


第7章 生体触媒による加水分解反応
 7.1 エステルの加水分解反応
  7.1.1 ラセミ体エステルの光学分割
  7.1.2 メソエステルの加水分解反応
  7.1.3 プロキラル中心を有するエステルの加水分解反応
 7.2 PLEのモデル
 7.3 プロキラル面を有するエステルの不斉加水分解反応
 7.4 アミノアシラーゼの反応
 7.5 ヒダントインの不斉加水分解とダイナミックレゾルーション
 7.6 エポキシドの開環反応
 7.7 ニトリルの加水分解
 7.8 酵素反応における添加物の効果

第8章 生体触媒による酸化反応
 8.1 酸化酵素
 8.2 C-H結合の酸化
  8.2.1 イソ酪酸の水酸化
  8.2.2 アリル位の酸化
 8.3 二重結合の不斉エポキシ化反応
 8.4 酵素によるBaeyer-Villiger反応
 8.5 スルフィドの酸化反応
 8.6 芳香族化合物の酸化反応
  8.6.1 ベンゼン誘導体のジヒドロキシル化
  8.6.2 酵素反応生成物の変換反応
 8.7 アルコールの酸化反応
  8.7.1 ラセミ体アルコールのエナンチオ選択的酸化
  8.7.2 メゾジオールの酸化
  8.7.3 プロキラルジオールの酸化
  8.7.4 HLADHの立体モデル
  8.7.5 糖類の水酸基の位置選択的酸化

第9章 生体触媒による還元反応
 9.1 パン酵母によるケトンの還元とPrelog則
 9.2 パン酵母中の複数の還元酵素
 9.3 パン酵母による還元の人為的コントロール
  9.3.1 基質の修飾
  9.3.2 保護基の選択
  9.3.3 添加物の効果
 9.4 ジケトンの還元
 9.5 炭素-炭素二重結合の還元
 9.6 R 選択性を有する生体触媒

第10章 生体触媒による炭素-炭素結合の生成と開裂
 10.1 アルドール反応
  10.1.1 アルドラーゼの種類
  10.1.2 ジヒロドキシアセトリン酸の反応
  10.1.3 ピルビン酸の反応
  10.1.4 アセトアルデヒドの反応
  10.1.5 トランスケトラーゼ
 10.2 プレニルトランスフェラーゼを利用する反応
 10.3 C-1ユニットの導入と脱離
  10.3.1 オキシニトリラーゼ
  10.3.2 ピルビン酸脱炭酸酵素
  10.3.3 マロン酸脱炭素酵素

第11章 生体触媒と有機溶媒
 11.1 有機溶媒中の酵素反応
  11.1.1 有機溶媒中の反応の特徴
  11.1.2 水含量と活性
  11.1.3 エステル交換反応
  11.1.4 鏡像体選択的ラクトン化反応
  11.1.5 エステル交換における溶媒効果
  11.1.6 水溶液中で不安定な化合物の変換
  11.1.7 非極性有機溶媒可溶化酵素
 11.2 水と混じる有機溶媒の効果
 11.3 有機溶媒と水の2相系の反応
  11.3.1 立体選択性の
  11.3.2 有機溶媒の添加と収率の向上
  11.3.3 吸水性ポリマーの利用
 11.4 有機溶媒と親水性担体(固相)の界面反応

第12章 バイオテクノロジーの最先端
 12.1 遺伝子のクローニング
  12.1.1 制御酵素
  12.1.2 プラスミド
  12.1.3 ライゲーション
  12.1.4 クローニングと形質転換
 12.2 PCR
 12.3 部位特異的変異
  12.3.1 PCRを利用する部位特異的変異
  12.3.2 クンケル法による部位特異的変異導入法
 12.4 DNAのランダムミューテーション
 12.5 触媒抗体
  12.5.1 酵素の反応加速効果の機構
  12.5.2 抗原抗体反応
  12.5.3 抗体触媒の創製は可能か
  12.5.4 ホスホン酸を遷移状態アナログとする触媒抗体による加水分解反応
  12.5.5 触媒抗体によるC-C結合生成反応

備 考

品切れ 重版予定なし

三共出版で購入?

ただ今、購入は出来ません。

更新: 2016年10月3日
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