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フロンティアオービタルによる新有機化学教程

978-4-7827-0714-2 C3043 / 2014年10月刊行
山口達明
前千葉工業大学教授 山口達明 著
A5・上製・2色刷・258頁/ 定価 3,520円( 本体 3,200円)
フロンティアオービタルを簡単な分子計算で描くことによって従来とは違った見方で有機化学を理解しようとするのがこの本の主眼点です。つまり,電子対の移動や共鳴式を使わない有機化学教科書です。
有機分子の電子分布図を沢山掲載していますので,従来の構造式とは違った分子のイメージが得られるでしょう。
サンプル
目次(詳細)

1 有機化合物の化学結合
 1.1 量子力学的原子像 ─ 原子オービタル
  (1)原子と電子
  (2)原子内電子分布
  (3)原子オービタルと原子スペクトル
 1.2 原子価結合(価電子による共有結合の定性的説明)
  (1)結合領域
  (2)水素分子における原子オービタルの重なり合い
  (3)結合解離エネルギーと電気陰性度
  (4)炭素の原子価(周期表における特別な位置)
  (5)混成軌道の発想とその問題点
 1.3 分子計算(分子全体の電子分布)
  (1)分子オービタル(MO)
  (2)分子計算法(分子軌道法)
  (3)MO計算結果の検証

2 有機化合物の構造
 2.1 有機分子中原子の三次元的配置
 2.2 構造式とは,その表記法
 2.3 異性
  (1)異性体の分類
  (2)立体配座(回転異性)
  (3)シス-トランス異性(幾何異性)
 2.4 立体化学と光学異性
  (1)旋光性とエナンチオマー
  (2)光学分割とジアステレオマー
  (3)絶対配置と表記法
  (4)旋光性理論
 2.5 命名法の一般則

3 有機化合物の反応
 3.1 反応の型による分類
 3.2 反応機構
  (1)結合の開裂
  (2)ラジカル反応
  (3)イオン的反応
 3.3 MO理論による有機化学反応の理解
  (1)フロンティア軌道理論
  (2)Woodward-Hoffman則
  (3)Klopman-Salem定理
  (4)HSAB則とハードネス・絶対電気陰性度
 3.4 反応速度
  (1)反応速度論と化学平衡論
  (2)競争反応の生成物 ─ 速度論的支配と熱力学的支配

4 脂肪族炭化水素
 4.1 炭化水素の分類
 4.2 アルカン ─ ラジカル反応
  (1)石油化学
  (2)ラジカル反応のMO論的考察
 4.3 アルケンの反応 ─ 付加
  (1)触媒反応
  (2)ラジカル付加
  (3)HX付加 ─ マルコニコフ則とカルボカチオンの安定性
  (4)フロンティアオービタルによる協奏的付加
   ① ジエン付加 / ② ホウ水素化(逆マルコニコフ付加) / ③ ハロゲン付加 /
   ④ オゾン付加と分解 / ⑤ 一重項酸素 / ⑥ カルベン付加
 4.4 共役と超共役 ─ 分子内での結合反結合性軌道の相互作用
  (1)共役
  (2)超共役
  (3)結合反結合性軌道相互作用(超共役)で説明される事象
   ① Ethaneの回転障壁 / ② カルボカチオンの安定性に及ぼすCH3基の効果
   ③ ラジカルの安定性 / ④ エノレートイオンの安定性 /
   ⑤ C=Oに対する非共有電子対の効果(アミドの安定化) /
   ⑥ C≡Cに対する置換基の効果
 4.5 エチレンの安定性・反応性に対する置換基の効果
 4.6 アルキン
  (1)アルケンとの違い
  (2)アルキンの付加反応
 4.7 アルケン・アルキンの合成
  (1)工業的製造法 ─ エチレン・プロピレン・アセチレン
  (2)実験室的合成法 ─ 脱離反応

5 芳香族炭化水素
 5.1 芳香族性
 5.2 ベンゼンに対する電子受容種の反応(求電子的置換)
  (1)アルケンとの違い
  (2)求電子的置換反応の分類
  (3)MO論による考察
 5.3 ベンゼン環に対する置換基の効果
  (1)置換基によるHOMOの変化
  (2)モノ置換ベンゼンの求電子的置換反応の位置配向性
 5.4 芳香族化合物の電子供与種との反応(求核的置換)
  ① サンガー試薬 / ② ベンザイン中間体 / ③ ジアゾニウム塩
 5.5 付加反応(光反応)
 5.6 多環芳香族化合物
  ① ナフタレン / ② ビフェニル

6 有機ハロゲン化合物と有機金属化合物
 6.1 有機ハロゲン化合物の合成
 6.2 C─X(ハロゲン)結合の反応性
 6.3 ハロゲン化アルキルの反応 ─ 置換と脱離
  (1)電子供与種との反応
  (2)競争反応
 6.4 反応速度と反応機構
  (1)1段階協奏的機構(SN2とE2反応)
  (2)カルボカチオン中間体機構(SN1とE1反応)
  (3)脱離反応生成物の分布 ─ ザイツェフ則とホフマン則
  (4)E2反応の立体化学 ─ トランス脱離
  (5)まとめ ─ アルキル基の種類と反応性
 6.5 ハロゲン化アリルおよびハロゲン化ベンジルの反応性
 6.6 ハロゲン化アルケニルおよび芳香族ハロゲン化物の反応性
 6.7 有機金属化合物
  (1)グリニャール試薬
  (2)有機金属化合物の結合

7 有機酸素化合物と有機窒素化合物
 7.1 C─N,C─O,C─F結合の違い
 7.2 有機酸素化合物と有機窒素化合物
  (1)分類
  (2)反応点
 7.3 アルコール・フェノール・エーテル
  (1)アルコールとフェノールの特性比較 ─ 水素結合と酸性
  (2)アルコールの判別 ─ Lucas test
  (3)合成中間体としてのアルコール
  (4)フェノール類の反応
  (5)エーテル
 7.4 アミン
  (1)N─HとO─Hの違い
  (2)アミン類の塩基性 ─ 気相塩基性度
  (3)アリールアミンの立体構造と塩基性度
  (4)アルキルアミンの判別 ─ Hinsberg test
  (5)アルキルアミンの合成と反応
  (6)アリールアミンの合成と反応

8 カルボニル化合物
 8.1 C=O結合とC=C結合の違い
 8.2 アルデヒドとケトンの違い
 8.3 カルボニル化合物の反応点
  (1)反応点の多様性
  (2)ラジカルによるH引き抜き
  (3)Oに対する電子受容種(プロトン)の付加
  (4)Cに対する電子供与種の付加 ─ 四面体型中間体の形成
  (5)塩基によるα水素の引き抜き(エノレート形成)
  (6)まとめ ─ カルボニル化合物の反応様式
 8.4 カルボニル化合物の付加・縮合反応
  (1)水和反応(水付加) ─ gem-ジオール
  (2)アルコール付加 ─ ヘミアセタール・アセタール
  (3)第1アミンの縮合 ─ イミン
  (4)第2アミンの縮合 ─ エナミン
  (5)HCN付加 ─ シアノヒドリン
  (6)グリニャール試薬 ─ アルコール合成
  (7)カルボニル基の還元 ─ アルコール合成
  (8)アルデヒドの不均斉化 ─ カニツアーロ反応
 8.5 エノレートイオンの反応
  (1)ケト・エノール互変異性
  (2)エノレートイオンの反応点
  (3)アルドール付加
  (4)クライゼン縮合
  (5)活性メチレン化合物

9 カルボン酸およびその誘導体
 9.1 カルボン酸の酸性
  (1)無機酸の解離
  (2)カルボン酸の構造と解離
  (3)エントロピー考察の必要性
  (4)気相酸性度と置換基効果
  (5)再考 水溶液中での酸解離
 9.2 カルボン酸の合成
  (1)酢酸の工業的製造方法
  (2)芳香族カルボン酸の工業的製造方法
  (3)C=C結合の酸化分解による合成
  (4)有機ハロゲン化物からの合成
  (5)1級アルコール,アルデヒドの酸化による合成
 9.3 カルボン酸の反応
  (1)カルボキシル基の反応性
  (2)OHの酸解離に伴う反応
  (3)カルボニル炭素へのヒドリド付加 ─ 還元
  (4)カルボニル炭素への電子供与種の反応
 9.4 カルボン酸誘導体の合成と反応性
  (1)求核的アシル置換
  (2)カルボン酸とその誘導体の反応性
  (3)酸塩化物の反応性とアミドの安定性
  (4)カルボン酸誘導体の合成

10 有機イオウ・リン化合物と有機ケイ素化合物
 10.1 第3周期元素と炭素の結合
  (1)共通する特徴
  (2)超原子価ということ
 10.2 有機イオウ化合物と有機リン化合物
  (1)分類
  (2)チオール ─ アルコールとの違い
  (3)チオール,スルフィドの合成
  (4)スルホニウム塩とS-イリド
  (5)ジスルフィド
  (6)チオールエステル ─ 酸素エステルとの比較
  (7)チオカルボニル化合物 ─ カルボニル化合物との違い
  (8)置換ホスフィン ─ アミンとの違い
  (9)置換ホスフィンを用いる合成反応
   ① ホスホニウム塩からP-イリド / ② 錯体配位子 / ③ 脱酸素剤
 10.3 高原子価イオウ・リン化合物
  (1)スルホキシド・スルホンのS─O結合
  (2)ホスフィンオキシドのP─O結合
  (3)スルホン酸の酸性
  (4)第3周期元素によるα水素の活性化
  (5)硫酸エステルとリン酸エステル
 10.4 有機ケイ素化合物
  (1)ケイ素と炭素
  (2)有機ケイ素化合物の合成
  (3)有機ケイ素化合物の反応性
  (4)有機ケイ素化合物の応用と可能性

有機化学外史
 1 原子の発想
 2 原子説の復活
 3 分子の概念
 4 電気の力
 5 原子価説から有機構造論
 6 原子の実在
 7 原子の発見から原子構造論(軌道論),そして物理学の世紀
 8 原子構造と電子対共有結合の概念
 9 有機電子論
 10 ポーリング化学結合論 ─ 1931, 1932, 1933

付表
 1 直鎖状アルカン名
 2 アルキル基名
 3 官能基名 ─ 接頭辞と接尾辞
 4 電気陰性度 ─ MullikenとPauling

索引

備 考

【電子書籍】図書館などの学術機関向けに「Maruzen eBook Library (MeL)」がございます。機関のご担当者様は Knowledge Worker よりご購入が可能です。個人の方は「紀伊國屋書店 Kinoppy」をご利用ください。

三共出版で購入?

部数:

更新: 2025年9月3日
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